語学のテキストの第1課はたいてい自己紹介の場面です。中国語のテキストでは、日本人でも名前の漢字を中国語の発音にして名乗るのが普通です。例えば、田中太郎さんは"TiánZhong TàiLáng"というように。一方、ベトナム語のテキストでは日本人はそのままローマ字にするだけ。田中太郎さんは"Tanaka Taro"。なんとなくつまらないですよね。ベトナム人が自分の名前を聞いて、親しみが湧くような名乗り方はないものでしょうか。
ベトナム人の名前は、
■姓 Họ
■間の名 Tên đệm
■称する名 Tên chính
の3つの部分に分けられます。ベトナムの現在の首相であるグエン・タン・ズン首相の名前を例に挙げると、姓がNguyễn、間の名がTấn、称する名がDũngになり、ベトナム人は一般的に称する名でお互いを呼び合うため、グエン首相ではなく、ズン首相と呼ぶのが普通です。
さらに、ベトナムは中国の影響を色濃く受けていて、ベトナム語にも漢字由来の言葉「漢越語 từ Hán Việt」が少なくないことは以前も述べたことがありますが、名前もやはり漢字で書き表すことができます。グエン・タン・ズン首相は、「阮晋勇」となります。
■姓: Nguyễn=阮
■間の名: Tấn=晋
■称する名: Dũng=勇
ということは、日本人の名前も漢字をベトナム語の発音にすれば、ベトナム風に改名できるのではないか。調べてみると、同じような発想で日本人の名前をベトナム風にしたり、ベトナム人の名前を日本風にするという試みをしている人がやはりいました(笑)。
具体的にどうするかというと、漢越辞典で自分の名前の漢字を一文字ずつ調べて、対応する発音を並べればいいというわけです。自分の名前は、"Cát Ngạn"になりました。
ただ、こうして一文字ずつベトナム語の発音を並べても、もしかしたらベトナム人にとっては意味不明かもしれないので、とりあえずローマ字読みで発音して、それぞれの漢字のベトナム語の意味を伝えるという方法もありでしょうか。漢字を媒介にして名前の意味を伝えられるのは、漢字文化圏ならではですよね。
0 件のコメント:
コメントを投稿