2015年4月20日月曜日

名前をベトナム風に改名してみる

語学のテキストの第1課はたいてい自己紹介の場面です。中国語のテキストでは、日本人でも名前の漢字を中国語の発音にして名乗るのが普通です。例えば、田中太郎さんは"TiánZhong TàiLáng"というように。一方、ベトナム語のテキストでは日本人はそのままローマ字にするだけ。田中太郎さんは"Tanaka Taro"。なんとなくつまらないですよね。ベトナム人が自分の名前を聞いて、親しみが湧くような名乗り方はないものでしょうか。

ベトナム人の名前は、

■姓 Họ
■間の名 Tên đệm
■称する名 Tên chính

の3つの部分に分けられます。ベトナムの現在の首相であるグエン・タン・ズン首相の名前を例に挙げると、姓がNguyễn、間の名がTấn、称する名がDũngになり、ベトナム人は一般的に称する名でお互いを呼び合うため、グエン首相ではなく、ズン首相と呼ぶのが普通です。

 さらに、ベトナムは中国の影響を色濃く受けていて、ベトナム語にも漢字由来の言葉「漢越語 từ Hán Việt」が少なくないことは以前も述べたことがありますが、名前もやはり漢字で書き表すことができます。グエン・タン・ズン首相は、「阮晋勇」となります。

■姓: Nguyễn=阮
■間の名: Tấn=晋
■称する名: Dũng=勇

ということは、日本人の名前も漢字をベトナム語の発音にすれば、ベトナム風に改名できるのではないか。調べてみると、同じような発想で日本人の名前をベトナム風にしたり、ベトナム人の名前を日本風にするという試みをしている人がやはりいました(笑)。

具体的にどうするかというと、漢越辞典で自分の名前の漢字を一文字ずつ調べて、対応する発音を並べればいいというわけです。自分の名前は、"Cát Ngạn"になりました。

ただ、こうして一文字ずつベトナム語の発音を並べても、もしかしたらベトナム人にとっては意味不明かもしれないので、とりあえずローマ字読みで発音して、それぞれの漢字のベトナム語の意味を伝えるという方法もありでしょうか。漢字を媒介にして名前の意味を伝えられるのは、漢字文化圏ならではですよね。

2015年4月12日日曜日

どの言語にも存在する省略語

明日の夜はベトナム居酒屋で飲み会の予定があって、数日前からとても楽しみにしています。フォーやバインセオを肴にしつつ、333ビールをごくごくと飲み干す…たまりません。

せっかくベトナム居酒屋に行くのだから乾杯もベトナム語でしてみようというわけで、ベトナム語で乾杯の掛け声はなんと言うのか調べてみたところ、

một hai ba dzô!

と言うらしいことが分かりました。một, hai, baは1,2,3なのですぐに意味が分かったものの、dzôはどの辞書を調べても見つかりません。新語の類なのかもしれないと調べるのを諦めようとした時、遂に手がかりを発見しました。

こちらの記事によると、メールやチャットでは簡略化、文字の置き換えがされる語句が少なくないそうなのです。例えば、không→khôg(nの省略)、 thích→thík(chがkに置き換え)というように。 dzôも置き換えの一例で、vô(「入れる」)という語のvをdzに置き換えたものになります。

これでベトナム語の乾杯!は「1,2,3 入れろ!」という意味だということが分かりました。

でも、vとdzでは発音が随分と違うのに何故置き換えるのだろうかと腑に落ちません。実はこれには方言が関係しているようです。ベトナム語はハノイを中心とする北部方言と、ホーチミン市を中心とする南部方言で発音や語彙が異なるのですが、ホーチミン市の西部に位置するカーマウ省やティエンザン省では、vを「ヤ」行に近い「ジャ」行で発音するそうです(参考1)。南部方言ではdを「ヤ」行で発音する(北部方言では「ザ」行)ので、vがdzに置き換えられるようになったのではないか、と推測しました。

これで dzôの謎は一応解けたのですが、メールなどで簡略化、文字の置き換えがされるということが判明して、ベトナム語習得への道の険しさを痛感しました。しかも、北部と南部では乾杯の言い方も違って、北部ではCạn lyと言うそうで(参考2)、一筋縄ではいかないベトナム語の奥深さもまた面白さなのかもしれません。

2015年4月11日土曜日

月曜日は1番目? 2番目?

今はまだ拓殖大学の公開講座もマンツーマンレッスンも始まっていないので、自習を続けています。自習は、五味政信『ベトナム語レッスン初級』(スリーエーネットワーク)の文法解説を読んで練習問題を解いた上で、その単語とフレーズをQuizletに入力して頭に叩き込む、という方法を採っています。

今週は仕事に余裕があったのでベトナム語学習がかなり捗って、レッスンごとの学習のほか、会話をするうえで欠かせない、数字、時間、曜日、季節に関する語句もQuizletを使って覚えることができました。その中でどうしても混乱してしまうのが曜日。中国語と微妙にズレがあるからです。

中国語では

日曜日:星期日/禮拜天/週日
月曜日:星期一/禮拜一/週一
火曜日:星期二/禮拜二/週二
水曜日:星期三/禮拜三/週三
木曜日:星期四/禮拜四/週四
金曜日:星期五/禮拜五/週五
土曜日:星期六/禮拜六/週六

というように、日曜日を除いて、月曜日を「一」として、以下二、三…と順番に続きます。

一方、ベトナム語は

日曜日:chủ nhật
月曜日:thứ hai
火曜日:thứ ba
水曜日:thứ tư
木曜日:thứ năm
金曜日:thứ sáu
土曜日:thứ bảy

月曜日は「2番目」という意味で、以下、「3番目」「4番目」…と続きます(日曜日は「主日」という意味です。)。つまり、中国語とベトナム語は1つずつ曜日の数え方がズレていて、これが混乱する原因でした。

違いは違いとして受け入れるとして、なぜこの違いがあるのか気になったので調べてみたのですが、違いがある理由の説明は今のところ見つかっていません。こちらのページでは、スワヒリ語では土曜日が「1番目」になっているというコメントもあり、他の言語ではどうなっているのか興味が湧きました。

月曜日が中国語ではなぜ「一」で、ベトナム語ではなぜ「二」になるのか。この謎を解いていただける方、いらっしゃいませんか。

2015年4月6日月曜日

インターネットは語学教材の宝庫

中国語や韓国語は市販のテキストが充実していて、どのテキストを使えばいいのか迷うほどですが、ベトナム語のようなマイナー言語は選択の余地がないくらい種類が少ないのではないかと思っていました。が、書店の語学教材コーナーで探すと、ベトナム語、タイ語、マレー語などの東南アジア諸言語のテキストは意外に多くて驚きました(台湾語のテキストは少なくて悲しくなります。)。

先日のポストでは使用している市販テキストを紹介しましたが、今日はベトナム語のオンライン教材をいくつか紹介したいと思います。

 ■ベトナム語表現集
 ベトナム在住のにしみつぐさんのブログ『ベトナムから世界へ!目指せPolyglot!多言語話者への終わりなき道』で紹介された生の口語集です。オンライン教材というわけではありませんが、簡単なアンケートに回答すれば、メールでPDFファイルの表現集を送付してもらえます。流行語やくだけた表現など現地で使われているベトナム語を知ることのできる格好の教材です。まだ話せるようになるレベルではありませんが…。

東京外国語大学言語モジュール
 超有名なオンライン言語学習教材の極み。ベトナム語をはじめ27言語の会話や単語を学習することができます。

Quizlet
 オンライン教材というか、フラッシュカードアプリです。市販のテキストの内容を単語とフレーズに分けて入力して、自宅ではPCで、外出先や移動の電車内ではiOSアプリで学習しています。隙間時間を有効活用できるので重宝しています。

大阪大学ベトナム語初級テキスト
 そして、今日、ネット検索をしていて偶然発見したこちら。その内容の豊富さに驚きました。発音練習教材、基本単語集から会話テキスト(音声あり)まですべて無料で公開されているんです。大阪大学のオンライン教材としてはベトナム語独習コンテンツもあるのですが、初級段階で必要とされるであろう内容が網羅されているこの初級テキストが素晴らしくて、どちらが優れているのかは比較するまでもありません。

他にもオンライン教材があれば是非教えてください。

2015年4月5日日曜日

ベトナム語と中国語の共通点

ベトナム語を1ヶ月学習して感じたのは中国語との共通点が多いということ。だから、中国語学習者にとってベトナム語は学習しやすい言語だと思います。僕がベトナム語にハマりつつあるのも、その学習のしやすさが理由の一つです。韓国語は日本語と似ているので日本人には学習しやすいと言われますが、僕にとっては母語である日本語との微妙な違いばかり気になって、どうしても馴染めませんでした。その点、ベトナム語と中国語はともに外国語なので、中国語学習で身につけた外国語学習法を適用できて、たぶん韓国語よりはスムーズに勉強できそうです。

僕の発見したベトナム語と中国語の共通点は以下のようなものです。

音韻
声調があること。中国語には4種類の声調があって、音の高低によって意味の区別をしています。ベトナム語も同様に声調があって、こちらは6種類あります。中国語よりも種類が多いので覚えるのは大変のように思えますが、昨年から学習を始めた台湾語には声調が5種類(入声2種類を加えると実に7種類)あって、既に声調の種類の多さには免疫ができていたので、ベトナム語の声調を覚えるのはそれほど難しくありませんでした。

ちなみに、こちらがベトナム語の声調です(Wikipediaより)

文法
基本的な文法構造はかなり似ています。SVO型(主語-動詞-目的語)であること、孤立語であること、動詞の後に方向や結果を表す補語を置くことがあること。

孤立語というのは接辞や語形変化がなく、語順によって意味が区別される言語です。例えば、中国語では「我愛你」「你愛我」でまったく逆の意味になります。ベトナム語でも同様に「Anh yêu em.」「 Em yêu anh.」で逆の意味になります。

これらの文法的な共通点があるので、中国語学習者にとってベトナム語は学習しやすい言語と言えます。韓国語のように語尾変化を覚える必要はなく、基本的な構造を覚えれば、あとは語彙を増やしていくことで表現の幅を広げることができます。また、中国語の方向補語や結果補語の考え方をそのまま適用できます。

語彙
歴史的理由により、漢字由来の言葉「漢越語 từ Hán Việt」が少なくありません。これは韓国語も同様です。ベトナム語の表記はアルファベットを使用していますが、漢越語の場合は併せて漢字も覚えると、語彙が広がります。

2015年4月4日土曜日

使用しているテキストなど

辞書
 ・TỪ ĐIỂN VIỆT NHẬT/NHÀ XUẤT BẢN VĂN HÓA
 ・TỪ ĐIỂN NHẬT VIỆT/NHÀ XUẤT TỪ ĐIỂN BÁCH KHOA
 ・TỪ ĐIỂN TIẾNG VIỆT PHƠ THÔNG/NHÀ XUẤT BẢN PHƯƠNG ĐÔNG

上から越日、日越、ベトナム語辞典です。越日と日越は日本でも出版されていますが、見出し語数の割に値段が高くてコストパフォーマンスが悪いと購入を迷っていたところ、ブログ『ベトナムから世界へ!目指せPolyglot!多言語話者への終わりなき道』のにしみつぐさんに手配していただいて、ベトナムで出版されている辞書を手に入れることができました。

オンライン辞書
 ・越日辞典
 ・日越辞典

上の越日辞典はさすが高いだけあって内容が充実していて、かなり便利。

テキスト(読み物系)
 ・田原洋樹『ベトナム語のしくみ《新版》』(白水社):既読
 ・田原洋樹『くわしく知りたいベトナム語文法』(白水社):既読
 ・『ワンテーマ指さし会話 ベトナム×ハノイ36通りグルメ』(情報センター出版局)

『くわしく知りたい』は『しくみ』の詳細版のような内容。他のテキストで文法事項をひととおりさらったら、もう一度『くわしく知りたい』を読み直そうと思う。『ワンテーマ』はいつかベトナム旅行をすることになったら読むつもり。

テキスト(練習系)
 ・五味政信『ベトナム語レッスン初級』 (スリーエーネットワーク)
 ・田原洋樹『ベトナム語表現とことんトレーニング』(白水社)
 ・三上直光『ニューエクスプレスベトナム語』(白水社)
 ・清水政明『ベトナム語』(大阪大学出版会)
 ・宇根祥夫『ベトナム語速読・速聴・速解』(三修社)

現在、使っているテキストは五味本と田原本。五味本が終わったらニューエクスプレスに入ろうと思っている。大阪大学と速読の2冊は少々レベルが高いので、今年中に手を付けられればいいかな。

他にお勧めのテキストがあれば教えてください。

ベトナム語学習歴1ヶ月

軽い気持ちで始めたベトナム語学習。1ヶ月が経過したところで具体的な目標を設定したので、目標を達成するまでの学習経過を記録するためにブログを始めました。ベトナム語学習人口は少ないでしょうし、興味がある方がいるとは思えませんが、そこはそれ、自己満足のブログですので。

まずは自己紹介代わりに語学学習歴から。

中国語:20年以上。中国語の通訳者をやってます。北京の某大学院で修士号を取得しました。
ドイツ語:2年。大学の第2外国語で学習したものの忘却の彼方。
フランス語、ロシア語、ラテン語、イタリア語:1年。大学の第3外国語として学習したものの忘却の彼方。
韓国語:3年。2012年に始めた当時は真剣に勉強して、TOPIK(検定試験)を受験したこともあったが、今ではEテレのハングル講座を1週間に1回視聴するくらい。
台湾語:1年。 台湾渡航歴13回の台湾好きが高じて2014年から学習開始。今年も継続。

そして、ベトナム語を2015年3月から始めました。4月からは拓殖大学公開講座のベトナム語入門クラスを受講、夏ころからはマンツーマンレッスンを開始する予定です。このブログでは自己学習の内容と、それぞれのレッスンで気づいた点などを記録していこうと考えています。